銀行へ決算報告のポイントー銀行は“数字の背景”を見ている

「決算書を出したのに評価が下がった…」銀行が見ているのは“数字の背景”

「今年も決算が終わった。銀行にも提出したし、ひと安心」
そう思った矢先、次の融資相談で担当者の反応が鈍い、そんな経験はありませんか?

実は、決算書を提出するだけでは、銀行の評価が思わぬ方向に下がってしまうことがあります。
なぜなら、銀行は決算書そのものよりも、“その数字がどうしてそうなったのか”という背景や意図を重視しているからです。

たとえば、売上は伸びたのに利益が減っている。
経営者から見れば「新規店舗を出したから一時的にコストが増えただけ」と理解していますが、銀行が数字だけを見ると「利益率が悪化している」「経営効率が下がっている」と判断されるかもしれません。

同じように、借入が増えていれば「資金繰りが悪化しているのでは?」、在庫が増えていれば「販売不振か?」と見られることもあります。
しかし、実際は成長に向けた先行投資や、繁忙期を見据えた計画的な仕入れであるケースも少なくありません。

つまり、数字には“意図”があり、その説明なしでは誤解されるリスクが高いのです。
銀行担当者は決算書を読み込むプロですが、社内会議で上司や審査部に説明するための「根拠資料」を求めています。
経営者からの説明がなければ、担当者自身も十分な説明ができず、結果的に社内で評価が下がる
そんな構造的な誤解が起きてしまうのです。

「数字が全て」ではなく、「数字をどう伝えるか」が評価を左右する時代。
特に中小企業の場合、経営者本人の“言葉”が銀行評価に大きな影響を与えます。
同じ決算書でも、背景を丁寧に説明した企業と、ただ提出しただけの企業では、融資姿勢・信用格付け・金利条件が変わることも珍しくありません。

銀行は“決算の点数”をつけているわけではありません。
見ているのは、その数字の裏にある「経営の意思」と「再現性」です。
短期的な数値の上下よりも、「この会社は自分たちで状況を把握し、説明できているか」という点を重視しています。

だからこそ、決算書を“提出するもの”ではなく、“伝えるための資料”と捉えることが大切です。
その意識の違いが、数年後の融資姿勢や信用格付けに大きな差を生みます。


銀行が知りたいのは「なぜそうなったのか」補足説明の重要性

銀行が決算書を見る目的は、単に数字を確認することではありません。
彼らが本当に知りたいのは、「この結果になった理由」と「今後の見通し」です。
つまり、数字の“動き”と“背景”をどう説明できるかが、評価を左右します。

たとえば、利益率が前年より下がっている場合。
経営者は「人材採用を増やした」「新商品開発に投資した」と把握していますが、決算書上は単に「販管費の増加」として見えます。
説明がなければ、「コスト管理が甘い会社」と判断されかねません。
逆に、「今期は新規採用で人員体制を強化した。来期から生産性向上を見込んでいる」と説明できれば、銀行は「成長投資として理解」してくれます。
同じ数字でも、“伝え方ひとつで印象が180度変わる”のです

また、銀行の担当者は必ずしも業界の専門家ではありません。
そのため、業種特有の動き──たとえば製造業の原材料価格の変動や、建設業の案件の時期ズレ、卸売業の回収サイトの特徴など──を知らない場合があります。
だからこそ、「この業界ではこういう動きがある」ことを丁寧に伝える補足説明が欠かせません。

実際、銀行内部では「定量情報(数字)」と「定性情報(説明・見通し)」をセットで評価しています。
定量面で多少マイナスがあっても、定性面でしっかりとした説明があれば「一時的な要因」「管理可能なリスク」と判断されるケースが多いのです。
逆に、数字は悪くなくても説明が曖昧な場合は「実態が見えない」「将来が読めない」とされ、慎重な対応に回ることもあります。

さらに、銀行は社内で稟議(りんぎ)を上げる際、担当者が“決算内容をどう説明できるか”を重視します。
つまり、担当者が上司や審査部に自信を持って「この会社は大丈夫です」と言える材料を提供することが、経営者側の役割でもあるのです。
そのためには、決算書に「説明書」を添える感覚が有効です。

ポイントは次の3つです。

 ① 前期比での変動理由を明確に(増減の背景を数字で補足)

 ② 業界特性・一時要因を説明(“異常値”に見える部分の誤解防止)

 ③ 経営の意図と今後の見通しを整理(次期の改善・成長戦略を示す)

こうした補足情報を添えることで、銀行担当者の理解が深まり、結果として融資姿勢も前向きになります。
「説明が丁寧な会社」は、それだけで「経営管理力が高い」と評価されるのです。


評価を上げるための実践ステップ、中小企業でもできる“見せ方改革”

「補足説明が大事なのはわかるけれど、そんな資料を作る余裕はない」
そう感じる経営者は少なくありません。
しかし、実は銀行が求めているのは分厚い経営計画書ではなく、“経営の考えが整理されていること”です。
つまり、伝える力を磨くことこそが、最もコスパの高い「信用向上策」と言えます。 では、具体的にどんな準備をすればよいのでしょうか。
ここでは中小企業でもすぐにできる実践ステップを紹介します。

① 前期比較の「一枚レポート」をつくる

まずは、決算書の主要項目を前期と比べて簡潔にまとめましょう。
売上・利益・在庫・借入・自己資本比率など、ポイントを5〜6項目程度に絞ります。
そして、「なぜ増えたのか」「なぜ減ったのか」を一行ずつコメントするだけでOK。
これだけでも、銀行担当者にとっては“理解しやすい資料”になります。

特に、利益率の悪化や借入増など、数字だけ見るとマイナスに映る部分こそ説明が重要です。
「一時的な要因」「成長投資」「改善中のテーマ」など、ポジティブな意図を明示することで、印象が大きく変わります。

② 業種特性を伝える

銀行担当者は多くの業界を横断的に担当しており、すべての業界に精通しているわけではありません。
だからこそ、「この業界ではこうなる」という補足が大切です。

たとえば

  • 製造業:原材料費の変動・在庫の回転率
  • 小売業:季節商材の仕入れ時期・販促投資のサイクル
  • 建設業:案件の入金タイミング・前受金と出来高の関係
  • 不動産業:入居率・修繕計画・家賃収入の安定性

このように、業界固有の“数字の動き方”を説明できると、銀行は安心します。
「業界構造を理解している会社だ」と評価され、信頼が積み上がります。

③ 管理体制と経営の意志を見せる

銀行がもうひとつ重視するのが、「誰がどのように管理しているか」という点です。
小規模企業でも、役割分担やチェック体制が明確なら「管理意識が高い」と評価されます。
簡単な組織図や業務フローを添えるだけでも十分です。

さらに、今期の見込みや成長戦略を1ページでまとめておくと理想的です。
売上目標・投資計画・人材採用・業務改善など、方向性が示されることで、銀行は「将来の見通しがある会社」と判断します。

こうした取り組みは、決して大企業だけのものではありません。
中小企業こそ、「数字を語れる経営者」であることが、最大の信頼材料になります。
実際、同じ決算内容でも、丁寧な説明を行うだけで「融資枠の拡大」や「金利優遇」を得られたケースも少なくありません。


数字を伝える力が、融資と信用を左右する

決算書は“過去の結果”を示すものですが、銀行が見ているのはその「裏側」と「これから」です。
同じ数字でも、経営者がどう説明するかによって、評価は大きく変わります。
つまり、融資や信用の差を生むのは「数字そのもの」ではなく、数字を伝える力なのです。

たとえば、売上減を「景気が悪くて…」とだけ説明すればマイナス印象ですが、
「利益率を守るために敢えて採算の悪い取引を絞った」と説明できれば、銀行は「戦略的な判断」として評価します。
また、借入が増えても「先行投資」「事業拡大のため」と明確に伝えれば、前向きなメッセージとして受け取られます。

このように、“数字の見せ方”ひとつで、銀行が抱く印象はまるで違ってくるのです。
数字は事実ですが、経営の意志を示すのは言葉です。
銀行は「この会社は何を考え、どんな未来を描いているのか」を知りたいのです。

だからこそ、決算報告は単なる提出作業ではなく、経営のストーリーを伝える場と捉えるべきです。
「前期と比べてどうだったか」「何を改善しているか」「次にどこを目指すのか」
この3点を押さえるだけでも、銀行の信頼度は格段に高まります。

もうひとつ大切なのは、経営者が一人で抱え込まないこと。
決算報告や銀行説明の準備は、財務の専門家と連携することで格段にスムーズになります。
たとえば、外部CFOや財務顧問といった専門家は、銀行向けの資料づくりやロジック整理をサポートし、経営者の思いを“伝わる形”に整えることができます。

実際に、私たちの支援先でも「決算書の出し方」を変えただけで、
・銀行からの追加融資がスムーズになった
・金利交渉が通りやすくなった
・担当者から“説明がわかりやすい会社”と評価された
といった変化が数多く見られます。

これは特別なテクニックではなく、「伝え方」を少し工夫しただけの成果です。
経営者が自社の数字を正しく理解し、自信を持って説明できるようになれば、銀行との関係はより強固になります。
それは、単なる融資対応ではなく、信頼をベースにした長期的なパートナーシップへとつながるのです。

【外部支援も活用を】

当社では、決算報告用の補足資料作成、銀行面談の事前準備、説明同席など、外部CFOとしての財務支援を行っています。
「このまま決算書を出して大丈夫だろうか」「銀行説明をうまく整理できない」とお感じの経営者さまは、ぜひ一度ご相談ください。
数字の“見せ方”を整えることが、未来の融資条件を変える第一歩になります。

外部CFO | LIFE CREATE サービス内容についてはこちらをご覧ください。

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