売上が伸びてもお金が残らない“採算管理の盲点”が赤字を生む
「売上は順調に伸びているのに、なぜかお金が残らない」
「忙しいのに利益が出ていない気がする」そんな悩みを抱える経営者は少なくありません。
決算書を見れば黒字なのに、実際の資金繰りは厳しい。
このような“利益なき成長”の裏側には、多くの場合、採算管理の甘さがあります。
つまり、「どこで利益が出ていて、どこで損失を出しているのか」が把握できていない状態です。
特に中小企業では、経理が「全社単位」での損益しか見ておらず、部門別・店舗別・商品別の採算が明確になっていないことがよくあります。
全体で見ると利益が出ているように見えても、実は一部の事業が赤字を補っているケースも少なくありません。
これでは、どこに注力すべきか、どこを改善すべきかがわからず、結果として経営の打ち手を誤ることになります。
また、もう一つの盲点は、「原価率」や「固定費」の把握が曖昧なことです。
たとえば、売上が増えた分だけ材料費や外注費も比例して増加していれば、粗利はほとんど残りません。
さらに、人件費や家賃、広告費といった固定費が高止まりしていると、黒字転換はますます難しくなります。
つまり、“売上”ではなく“利益”で経営を考える視点が欠けているのです。
採算管理とは、単にコストを削減するための仕組みではありません。
本来は「どこで稼ぎ、どこで無駄が生じているのか」を正確に見える化し、経営判断の精度を高めるための手法です。
数字を見て課題を発見し、すぐに対策を打てる体制を整える——それが健全な経営の基礎になります。

経営者自身が採算構造を把握できていない状態では、どんなに優れた営業戦略を立てても、利益は安定しません。
そして、銀行や投資家が重視するのも「売上の伸び」ではなく「利益体質かどうか」です。
資金調達の面から見ても、採算管理の徹底は企業の信用力を高める重要な要素となります。
売上を追う経営から、「利益を生む経営」へ。
この意識転換こそが、採算管理を導入する第一歩なのです。
決算書・試算表で“見える化”する利益構造を把握するための基本分析
採算管理を強化するうえで、最も効果的なツールが「決算書」と「試算表」です。
これらを“過去の数字の報告書”として見るのではなく、“未来の経営判断を支えるデータ”として活用することがポイントです。
つまり、「数字を読む」から「数字で経営する」へと発想を変える必要があります。
まず取り組むべきは、部門別・店舗別の損益管理です。
多くの中小企業では、会社全体の損益しか把握しておらず、どの部門が利益を生み、どこが赤字を出しているかが不明確です。
試算表をもとに、売上・原価・人件費・販管費などを部門単位で分解して管理すれば、採算の良し悪しが一目でわかります。
黒字部門には人材や資金を集中させ、赤字部門は改善策を検討、もしくは撤退を判断する——これが利益体質への第一歩です。
次に重要なのが、商品・サービスごとの利益率分析です。
売上規模が大きい商品が必ずしも利益を生むとは限りません。
ABC分析(売上や利益貢献度によってA・B・Cに分類)を行うことで、「最も利益を生み出している商品」と「リソースを浪費している商品」を明確にできます。
Aランク商品には販売強化策を、Bランク商品には改善策を、Cランク商品は撤退を検討する。
このように商品ごとに“稼ぎ方”を整理することで、全体の利益率が大きく向上します。

そして、原価率の見直しと固定費の適正化も欠かせません。
売上が増えても、原価率が高止まりしていれば利益は残りません。
定期的に原材料費や仕入れ価格をチェックし、必要に応じて価格改定や仕入れ先の見直しを行いましょう。
また、固定費の中でも人件費・家賃・広告費の3項目は要注意です。
売上に対して人件費が30%を超えていないか、広告費の費用対効果は妥当かなど、「費用対効果の見える化」が経営判断を支えます。
このように、決算書や試算表を使って「どこで儲けているのか」「どこが足を引っ張っているのか」を具体的に分析することで、利益構造の全体像が見えてきます。
そして、ここで得たデータをもとに改善策を実行し、その効果を数字で検証していく、これが本来の採算管理の姿です。 数字は経営の“結果”であると同時に、“次の打ち手を導くヒント”でもあります。
感覚や勘に頼らない、「数字に基づく経営」への転換が、企業の持続的成長を支える鍵となります。
利益体質への転換を実現した実例、採算管理の仕組みづくりで見えた変化
採算管理の重要性を理解していても、「実際にどう改善すればいいのか分からない」という声を多く聞きます。
ここでは、当社が支援したある中小企業の事例をもとに、採算管理の仕組み化によってどのように利益体質へ転換できたのかを紹介します。
その企業は、地方で複数店舗を展開するサービス業でした。売上は堅調に推移していたものの、決算上の利益率はわずか1%台。
経営者は「これ以上どこを削ればいいのか分からない」と頭を抱えていました。
ヒアリングと財務分析を進めると、課題は明確でした、部門別の採算管理がまったく行われていなかったのです。
全店舗の売上と費用を一括で管理していたため、どの店舗が利益を出しており、どの店舗が赤字なのかが分からない状態でした。
そこでまず、各店舗ごとの試算表を作成し、売上・人件費・仕入・経費を分離。月次で採算を“見える化”しました。
すると、意外な結果が出ました。
売上トップの店舗が実は固定費負担が重く、利益を圧迫していた一方、売上が小さいながらも高利益率の店舗が複数存在していたのです。
このデータを基に、経営者は戦略を大きく転換しました。
不採算店舗は早期に立て直し計画を実行し、改善が難しい店舗については撤退を決断。
一方で利益率の高い店舗には人材と広告予算を集中投下し、収益の柱として育成しました。
同時に、各店舗の責任者に「損益意識」を持たせるため、月次の数値報告会を導入。
数字を共有し、現場の意識改革を促した結果、半年後には営業利益率が3倍に改善しました。
さらに、商品・サービス別のABC分析を行い、粗利率の高いメニューに注力。
原価率が高い低利益メニューは思い切って見直し、価格改定や仕入れ交渉を実施しました。
その結果、売上は横ばいでも利益額が大きく増加し、キャッシュフローが安定。
銀行からの評価も向上し、新規融資をスムーズに受けられるようになりました。 この事例が示すように、採算管理の本質は「無理なコスト削減」ではなく、経営の精度を上げることです。
どの事業に投資し、どこを改善するかをデータで判断できるようになれば、経営のスピードも格段に上がります。
数字が“判断の根拠”となり、組織全体が一枚岩で利益体質へと変わっていくのです。
数字を味方にする経営へ、採算管理を習慣化し、持続的な黒字経営を
採算管理の目的は、単にコストを削減したり、赤字を回避したりすることではありません。
本当の目的は、経営の意思決定を「数字」に基づいて行うことです。
感覚ではなく、根拠を持った判断ができるようになれば、企業は安定的に利益を生み出し、資金繰りにも余裕が生まれます。
採算管理とは、いわば「数字を味方につける経営」の基盤なのです。

多くの企業では、採算管理を“改善プロジェクト”のように一時的に取り組みがちですが、重要なのは「継続」です。
毎月の試算表をもとに、部門別・商品別の損益を確認し、改善策を検討・実行・検証する。
このサイクルを習慣化することで、経営のブレが減り、黒字を維持できる体質へと変わっていきます。
言い換えれば、採算管理とは「経営者の感覚を数字で裏づける」仕組みづくりでもあります。
また、採算管理を徹底すると、金融機関からの評価も大きく変わります。
銀行や信用金庫は、企業の決算内容だけでなく、「経営管理の精度」を重視しています。
試算表が毎月整備され、利益の要因が明確に説明できる企業は、融資審査でも信頼を得やすい。
つまり、採算管理の強化は、資金調達力を高める“信用づくり”にもつながるのです。
採算管理を進めるうえで重要なのは、経営者一人で抱え込まないこと。
社内の数字管理を仕組み化し、必要に応じて外部の専門家の力を借りることで、より客観的な分析と具体的な打ち手が見えてきます。
私たちも外部CFOとして、財務データの整理から改善策の立案・実行までを一貫して支援しています。
「数字が苦手」「試算表をどう使えばいいか分からない」という経営者でも、データを理解できるよう伴走し、利益体質への転換をサポートしています。
採算管理を習慣化することは、企業の「財務の健康診断」を定期的に行うようなものです。
数字を正しく読み解き、問題点を早期に発見・修正していくことで、企業の経営基盤は確実に強くなります。
短期的な利益ではなく、継続的に利益を生み出す“強い経営体質”を築く——それが、これからの時代に求められる経営者の姿勢です。
「数字に強い経営」を目指したい方、「自社の利益構造を見直したい」と感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
貴社の現状に合わせた採算管理の仕組みづくりと、利益改善の具体策をご提案いたします。
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