年に一度の大仕事!正しい銀行への決算報告のやり方

提出だけで終わらせていませんか?「決算報告=信頼報告」であるという視点

決算が終わると、「決算書をPDFでメール送付」「銀行担当者に資料を渡して終了」という対応をしている会社が少なくありません。
しかし、実はそれ、銀行から見ると「やや物足りない会社」に見えてしまいます。
数字だけの提出だと、経営者が本当に見てもらいところや分かってもらいたいところは伝わらず、銀行担当者のイメージで査定されてしまうのです。 銀行が融資を判断するうえで重視しているのは、「この会社が何をどう考えて経営しているのか」「今後の改善策を持っているか」という部分。
数字だけを提出されても、それが偶然の結果なのか、明確な戦略のもとに出たものなのかが分からない。
つまり、決算書の提出は「結果報告」にすぎず、「経営姿勢」は見えないままになってしまうのです

一方で、決算が確定した段階で銀行に直接出向き、経営者の口から丁寧に説明する会社は、確実に印象が違います。
特に、前年との比較や変動の理由を自ら説明できる会社は、「経営をコントロールできてる」という評価を得やすくなります。
数字が多少悪化していても、「原因を把握し、改善に向けて動いている」と伝われば、銀行の印象はむしろプラスに転じることもあります。

また、銀行の内部では、稟議書を作成する際に「経営者の発言」や「説明内容」が引用されるケースもあります。
つまり、決算報告を自らの言葉で行うことは、次の融資交渉の“下地づくり”にもなるということです。
担当者のメモに「経営者が具体的な改善策を説明」「課題認識が明確」と書かれていれば、その後の本部判断にも良い影響を与えます。

だからこそ、決算書の提出は「終わり」ではなく、「始まり」にすべきなのです
決算は経営の通信簿であり、それをもとに銀行と未来の話をする機会こそ、最も大切な経営対話の場です。
この機会を「ただの提出作業」で終わらせてしまうのは非常にもったいない。
数字が悪くても、誠実な説明があれば信頼は積み上がります。
良い所も悪い所も全て説明して、誤解のない全うな評価を受けられるように努めなければ勿体ないということなのです。

決算報告とは、書類の提出ではなく、「経営者としての姿勢を伝える信頼報告」。
数字は会社の結果を示しますが、その数字の意味を伝えるのは経営者自身しかいません。
実際に数字だけで見るよりも、対面で話を聞いた方が信頼度が異なります。
それは、融資の可否だけでなく、次回以降の条件や対応にも大きく影響していきます。

「誰に」「何を」「どう伝えるか」で決まる信頼度

決算報告を行う際、「とりあえず担当者に渡しておけばいい」と思っていませんか?
もちろん担当者との関係も重要ですが、本当に信頼を得たいのは“融資の決裁権を持つ人”です。
つまり、支店長や次席クラスの幹部に直接説明することが理想です。

多くの経営者が勘違いしがちなのは、「担当者=判断者」だということ。
実際には、担当者はあくまで情報を整理し、上席や本部へ稟議を上げる立場にあります。
そのため、支店長や次席者に自らの言葉で説明しておくことで、社内稟議の中身がより具体的に、そしてポジティブに伝わりやすくなるのです。
この“直接説明”があるかないかで、融資の温度感は大きく変わります。 では、決算報告では何を伝えればいいのでしょうか?

ポイントは次の3つです。

 【1】前期の振り返りと数字の変動要因
「なぜ売上が上がったのか」「なぜ粗利率が下がったのか」──この“なぜ”を自ら説明できる会社は強いです。
決算数値は結果であり、銀行が知りたいのはそのプロセスです。

 【2】今期の見通しと打ち手
過去の説明にとどまらず、今期の改善方針や見込みも合わせて伝えましょう。
「新しい取引先を増やした」「在庫管理を見直した」など、具体策があると信頼感が増します。

 【3】中期的な資金計画
「今後1年〜2年でどのような資金需要があるのか」を共有することで、銀行は先回りして提案できるようになります。
これにより、次の融資交渉がスムーズに進む可能性が高まります。

また、資料面では「前期比較表」「部門別PL」「棚卸明細」「借入金一覧」など、数字の裏付けとなるデータを準備しておくと良いでしょう。
これらは、銀行側が最も確認したいポイントであり、説明をスムーズに進める武器になります。

特に業種によっては、示すべき資料も異なります。
たとえば建設業なら「受注一覧表」、介護業なら「稼働率推移表」、小売業なら「在庫回転率」など。
業種固有のデータを自ら提示できる会社は、格段に評価が上がります。

さらに大切なのは、「良い点」だけでなく「課題」も正直に話すこと。
「人件費が増えた」「仕入価格が上がった」など、マイナス面も理由と対策を添えて説明すれば、むしろ誠実な印象になります。
銀行は“完璧な会社”を求めているわけではありません。
求めているのは“課題を認識して行動している会社”なのです。

結局のところ、決算報告とは“数字の説明”ではなく、“経営者としての姿勢のプレゼン”です
誰に、何を、どのように伝えるかで信頼度は大きく変わります。
担当者任せにせず、自らの言葉で「次の一年をどう進めるか」をしっかり共有することが、次の融資への第一歩になります。

「見せ方」と「準備」で印象は大きく変わる

決算報告では、話す内容と同じくらい「見せ方」も重要です。
どんなに良い経営をしていても、資料の見せ方が雑だと説得力は半減してしまいます。
銀行員は限られた時間で複数の企業を担当しているため、短時間で理解しやすい資料が何より評価されるのです。

まず意識したいのは、「決算書=提出資料」ではなく「プレゼン資料」として整えること。
表紙をつけ、1ページ目にはサマリー(概要)を配置し、章立てを行うだけで印象が大きく変わります。

「どこに何が書いてあるか」が一目で分かる資料は、それだけで“整理された会社”という印象を与えます。

たとえば、前年との比較で大きな変動がある項目は、数字を赤字や黄色マーカーで強調。
さらに、その変動理由を数行のコメントで添えると、非常に理解されやすくなります。
「なぜ増えたのか」「なぜ減ったのか」を自ら説明できる会社は、銀行から見て“説明責任を果たしている会社”と判断されます。

また、グラフや図表を活用するのも効果的です。
売上推移、粗利率の変化、人件費率の動きなど、数字を視覚化することで、担当者は稟議書に転記しやすくなります。
実際、銀行員の多くは「説明しやすい資料」を高く評価します。
つまり、“説明しやすい資料”=“稟議を通しやすい会社”ということです。

もう一つ重要なのは、「良い情報だけを並べない」ということ。
一見マイナスに見える内容でも、“その原因と今後の対応策”をセットで話せば、
「課題を放置していない会社」としてむしろ評価が上がります。
たとえば、「粗利が下がったが、仕入れ交渉の見直しで来期は改善見込み」と説明できれば、前向きな印象に変わるのです。

そして最後に、面談では「一方的に話す」のではなく、担当者や支店長からの意見を聞く姿勢も忘れずに。
「この数字をどう見られますか?」「他の企業ではどのような対策が多いですか?」と質問することで、銀行側の考え方や当社の見方や評価などが理解できると思います。
この“対話型”の姿勢が、次の提案や支援につながるきっかけになるのです。

決算報告は「数字の説明会」ではなく、「信頼を積み上げるプレゼンテーション」。
見せ方を整えることで、同じ内容でも印象はまるで違います。
銀行は“完璧な会社”より、“誠実に説明できる会社”を高く評価するのです。


決算報告は「信頼残高」を増やすチャンス

決算報告は「義務」ではなく、銀行との信頼残高を積み上げるための貴重なチャンスです。
多くの経営者が「数字が悪い年は行きづらい」「とりあえず提出だけで済ませたい」と考えがちですが、実はそのような時こそ訪問すべきタイミングです。

銀行員の立場から見ても、「良い決算のときにだけ来る会社」よりも、「悪い時も誠実に説明してくれる会社」を信頼します。
なぜなら、銀行は“良い時”よりも“悪い時”にこそ、その会社の本質を見極めているからです。
数字が落ち込んでも、経営者が冷静に現状を把握し、改善策を明確に伝えることで、
「この社長なら立て直せる」と判断され、むしろ支援姿勢が強まるケースも少なくありません。

一方で、決算書を提出するだけで終わらせてしまう会社は、「何を考えているか分からない」と受け止められてしまいます。
銀行にとって最も不安なのは、「説明がないこと」「情報が止まっていること」です。
数字が良くても悪くても、“説明責任を果たす会社”は、信頼が積み上がる。
反対に、“沈黙する会社”は、わずか一年で評価を落とすのです。

この“信頼残高”は、次の融資や支援のスピードに直結します。
銀行内部では、融資判断の際に「担当者メモ」や「支店長所見」が参照されます。
そこに「経営者が丁寧に説明」「課題を認識し改善に動いている」と記されていれば、
たとえ数字が厳しくても前向きな稟議として進めてもらえる可能性が高まります。

また、決算報告の場は“融資交渉の場”でもあります。
「今後の投資予定」「資金繰りの見通し」「新規事業の構想」など、先を見据えた話題を織り交ぜることで、銀行は「この会社には今後も関わりたい」と感じるようになります。
特に「次年度の設備投資」や「事業拡大の構想」は、早い段階で共有しておくことで、
有利な条件での融資や不動産・M&Aなどの紹介につながることもあります。

つまり、決算報告とは単なる「過去の報告」ではなく、
“未来の支援を引き出すためのプレゼンテーション”でもあるのです。

報告を終えたあとは、必ずお礼のメールを送るところまでできると完璧です。
「本日はお忙しい中ありがとうございました。引き続き今期もご支援のほどよろしくお願いいたします。」
この一言で、あなたの印象は確実に変わります。
銀行員は“人”です。感謝の気持ちを伝えることで、次の面談や融資相談にも前向きに対応してくれるようになります。

決算書は「過去を示す数字」ですが、決算報告は「未来をつくる行動」です。
経営者が自ら話し、誠実に説明することこそ、最大の信用構築。
一年に一度のこのタイミングを、信頼残高を増やす最高の機会として活用していきましょう。

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