融資面談は“準備力”で決まる
銀行との融資面談は、単なる「世間話」ではありません。
銀行員にとって、これは融資審査の一部であり、面談内容はすべて内部の稟議資料や評価メモに反映されます。
つまり、面談とは「審査を受けている時間」であり、同時に「信頼を築くプレゼンの場」でもあるのです。
多くの経営者が陥りがちなのは、「書類を出したからあとは銀行が判断してくれるだろう」という受け身の姿勢です。
しかし実際には、決算書や事業計画書と同じくらい、面談での説明内容が融資可否に影響するケースが多く見られます。
銀行員は、面談を通して次の3つを確認しています。
1.事業の実現性
そのビジネスモデルに再現性があるか、売上の見込みは根拠をもって説明できるか。
2.返済の見通し
返済財源が確保できる見込みはあるか。キャッシュフロー管理ができているか。
3.経営者の信頼性
質問に対して誠実に、具体的に答えられているか。数字や事実に整合性があるか。
この3点は、どれも「準備不足」では答えられない内容です。
たとえば「売上の根拠を教えてください」と聞かれた際に、「なんとなく伸びると思う」「最近調子が良いから」といった曖昧な回答では、銀行側は一気に警戒モードになります。
逆に、「直近3ヶ月の客単価と来店数をもとに売上予測を立てています」と言えれば、それだけで“経営を数字で把握している人”という印象を与えられます。
銀行員は、「貸したいけれど、上に説明できない」という現実を常に抱えています。
だからこそ、経営者が自分の言葉で事業を語れないと、その案件は審査で落ちやすい。
審査部は書面と報告メモだけで判断するため、面談時の説明力=稟議の通りやすさなのです。
また、面談では「どれだけ整っているか」も重要な判断材料になります。
・資料の順番が分かりやすいか
・説明が筋道立っているか
・質問への回答が簡潔かつ一貫しているか
これらが整っていれば、銀行員の信頼は格段に上がります。
融資を通すための最初のカギは、“どれだけ準備して臨むか”にあります。
決算書や計画書の作成はもちろん、「どう話すか」も経営戦略の一部。
面談を単なる儀式ではなく、会社の信頼を高めるプレゼンの場として捉えることが、最初の大きな一歩になるのです。

よく聞かれる4つの質問と答え方のコツ
銀行面談でよく聞かれる質問には、ある程度の“定番パターン”があります。
多くの経営者が苦手意識を持つのは、「何をどう答えれば良いか分からない」という点ですが、実はコツさえつかめば難しくありません。
ここでは、銀行員が重視している4つの質問と、その答え方のポイントを整理してみましょう。
①事業内容に関する質問
たとえば「どんな商品を扱っていますか?」「競合と比べて強みはどこですか?」という質問です。
銀行はこの質問を通じて、「この会社のビジネスモデルに将来性があるか」を見ています。
回答のコツは、“自分の言葉で具体的に話す”こと。
専門用語や抽象的な表現ではなく、「誰に・何を・どうやって売っているのか」を数字や事実で説明しましょう。
たとえば「地域の高齢者向けに月1,000食の弁当を宅配しています。2年前よりリピート率が15%上がりました」という話なら、銀行側もイメージしやすくなります。
②資金使途に関する質問
「この資金は何に使う予定ですか?」というのは最も重要な質問です。
銀行員は、借入金が明確な目的のために使われるかを確認しています。
たとえば「新しい冷蔵車を購入するために500万円」「店舗の改装費用として300万円」など、
金額・用途・効果をセットで伝えると信頼度が高まります。
もし「念のための運転資金」と答える場合でも、「仕入先への支払が増える時期があり、一時的な資金繰りに備えたい」と、使い道の理由を具体的に添えることが重要です。
③返済見通しに関する質問
銀行は「貸したお金をちゃんと返してもらえるか」を最も気にします。
「どうやって返済していく予定ですか?」と聞かれたときは、
返済原資となるキャッシュフローの根拠を数字で説明できると理想的です。
たとえば、「月間の営業利益が60万円あり、返済額は30万円です。利益の範囲内で無理なく返済できます」と答えると非常に分かりやすいです。
銀行が求めているのは、“計算された安心感”なのです。
④借入状況に関する質問
「他にどこから借りていますか?」「返済状況はどうですか?」という質問も必ず聞かれます。
ここで嘘をつくのは絶対にNG。
銀行は信用情報でほぼ全てを把握しています。
むしろ、自分から正直に話したほうが信頼を得やすいのです。
たとえば「A信用金庫で長期借入が1,000万円、残高は600万円です」と具体的に説明し、
「今後は御行にもメイン取引としてお願いしたい」と前向きな姿勢を見せると好印象になります。
面談での質問は、すべて「あなたの会社を理解するためのもの」です。
答える際は“うまく話す”必要はなく、“整理して話す”ことが大切。
数字・目的・効果をセットで説明できるかどうかが、信頼を左右するポイントになります。

意外と見られている“面談マナー”
銀行融資の面談というと、事業内容や数字の話ばかりに意識が向きがちですが、実はそれ以外の“人としての印象”も大きな判断材料になります。
なぜなら、銀行員は「お金を貸す相手」として、人間性・信頼性・誠実さを見極めているからです。
どれだけ業績が良くても、態度や準備の印象が悪いと、稟議の通り方が変わることもあります。
① 第三者を同席させない
面談の場には、税理士や顧問などを同席させたくなる方もいますが、基本的には避けたほうが良いです。
銀行は経営者本人の考え方や判断力を知りたいと思っています。
そのため、代理人が主導する形になると「自分で説明できない経営者」と見られてしまい、信頼を損ねることも。
経理担当者を同席させて、細かい点は担当から説明させることは大丈夫。
もちろん、面談後に専門家へ相談するのは構いませんが、銀行とのやり取りは“自分の言葉で”行うのが鉄則です。
② 追加資料を忘れない
面談の際、銀行員から「この資料を見せてください」と言われることがあります。
たとえば、
・取引先リストや商品カタログ
・役員名簿や賃貸契約書
・担保物件の資料
・通帳や資金繰り表
こうした資料をその場で提示できるかどうかで、銀行側の印象は大きく変わります。
特に初めて取引する銀行の場合、「この経営者は準備ができている」と思われるだけで、信頼度は格段に上がります。
逆に、「資料が見つからない」「後日送ります」という対応が続くと、稟議のスピードが落ちるだけでなく、“融資をお願いする姿勢”にも疑問を持たれかねません。
③ 服装と態度は“清潔感重視”
銀行員はスーツで来ることが多いですが、経営者の服装が作業着であっても問題はありません。
重要なのは「清潔感」と「誠実さ」を感じさせるかどうか。
現場作業の方なら作業服でも構いませんし、オフィス業態ならジャケットなどのきちんとした印象を意識しましょう。
また、態度や言葉づかいも見られています。
たとえば、時間に遅れる、スマホを操作する、質問に対して曖昧な返答をする――こうした小さな行動が、銀行員にとっては「融資後の付き合い方」を想像させる材料になります。
④ 信頼される人の共通点
最終的に、銀行が「この人になら貸したい」と思うのは、誠実で、筋道が通った人です。
見た目の派手さや話術よりも、
・必要な書類が揃っている
・話の内容に一貫性がある
・数字や事実を正確に答えられる
こうした“整理された経営者”が、最も高い評価を受けます。
銀行との面談は、いわば“会社の第一印象を決める舞台”。
服装や態度、準備の姿勢など、表面的なことほど実は評価されやすい要素です。
「どう見られているか」を意識するだけで、面談結果が変わる――そんな現場を、私は何度も見てきました。

信頼される経営者は“整理されている”
銀行が経営者を評価する際、最も重視するのは「数字」や「書類」だけではありません。
それ以上に大切なのが、経営者自身の“整理力”です。
この整理力とは、つまり「自社の状況を自分の言葉で説明できる力」。
融資可否を決める現場では、この一点が決定打になることも少なくありません。
①「説明できる=管理できている」と見られる
銀行面談で、「売上や利益の推移を教えてください」「今の借入残高はいくらですか?」と聞かれたとき、
その場で答えられる経営者は意外と少ないものです。
しかし、即答できる人はそれだけで印象がまるで違います。
銀行員は心の中で「この人は数字を把握している」「管理ができている」と判断します。
逆に、「あとで確認します」「税理士に任せていて…」という言葉が多いと、
「この経営者は資金繰りを自分で見ていないのでは?」という不安が生まれます。
たとえば私が支援する中で、資金繰りに余裕のある会社ほど、
通帳の動きや支払予定を自ら把握し、どんな質問にも自信をもって答えています。
一方、資金繰りが厳しくなってから相談に来る会社は、数字の説明ができず、
「気づいたら残高が減っていた」という状態になっているケースが多いのです。
② 書類の整理は「信頼の見える化」
銀行との面談では、資料の整い方そのものが信頼のバロメーターになります。
・ファイルに整理されているか
・必要な資料をすぐに出せるか
・数字の整合性が取れているか
こうした小さな部分にこそ、経営者の“誠実さ”が現れます。
私が以前見たケースでは、試算表・資金繰り表・借入一覧をA4一枚にまとめて提出しただけで、
銀行員が「この社長は信頼できる」と言い、追加融資の話がスムーズに進んだこともありました。
特別な書式や専門知識は必要ありません。
「誰が見てもわかるように整っている」ことが、最も大きな武器になるのです。
③ 「話が早い人」は評価される
整理されている経営者は、話の展開が早く、質問に対して的確に答えられます。
その結果、銀行員の内部評価では「理解力が高く、協力的」「リスク管理ができている」と書かれます。
実はこれが、将来の格付評価にも影響することがあります。
銀行内では面談時の印象が記録され、次回の融資検討時に参照されるのです。
④ 整理とは「仕組み」で守ること
整理力は一朝一夕で身につくものではありません。
しかし、月次試算表をチェックし、資金繰り表を更新するだけでも、経営者の感覚は確実に変わります。
数字を“見る習慣”がつくことで、資金ショートのリスクを事前に察知できるようになるのです。
整理されている人ほど、銀行から信頼され、提案されるスピードも速くなります。
「信頼される経営者」は、必ず“整っている”のです。

融資面談は“信頼づくり”の第一歩
銀行との面談というと、「お金を借りるための試験」と捉える方が多いかもしれません。
確かに、融資の可否を決める場ではありますが、実はそれ以上に大切なのが、信頼関係を築く“スタート地点”だということです。
① 面談は“未来の付き合い”の入り口
銀行員にとって面談は、「この会社と長く付き合えるか」「今後の成長を支援できるか」を見極める機会でもあります。
つまり、単発の融資だけでなく、将来を見据えたパートナーシップを築けるかどうかを判断しているのです。
だからこそ、面談の場では“借りたい金額”よりも、“今後どう成長していくのか”を語ることが重要になります。
「この設備投資によって、来期は売上を1.2倍にしたい」
「今の課題をクリアすれば、利益率が改善できる見込みがある」
こうした前向きなビジョンを伝えることで、銀行側は「この会社は応援する価値がある」と感じます。
② 銀行員は“リスクを説明できるか”を見ている
銀行は決して「失敗しない会社」にだけ融資しているわけではありません。
むしろ、多少のリスクがあっても、「それを理解し、コントロールできる経営者かどうか」を見ています。
たとえば、
・「売上が落ちた場合、経費をどう抑えるか」
・「受注が遅れた場合、資金繰りをどう回すか」
といった“もしも”の対策を自分の言葉で話せる経営者は、非常に信頼されます。
銀行員にとって安心できるのは、「完璧な会社」ではなく、「課題を把握して動ける会社」です。
③ 面談の積み重ねが“融資スピード”を変える
日頃から銀行とコミュニケーションを取っている会社ほど、いざというときの融資がスムーズです。
逆に、年に一度の決算報告しか顔を出さない会社は、担当者との関係が浅く、意思決定までに時間がかかります。
銀行に「近況報告」をしておくことは、信頼貯金のようなものです。
たとえば、
「最近こういう案件が決まりました」
「新しい事業を検討しています」
といった何気ない共有でも構いません。
“普段からオープンに話してくれる会社”は、銀行内での評価も自然と高まります。
④ 信頼を築く最大のコツは「誠実さ」
どんなに計画書を整えても、どんなに数字を作り込んでも、最終的に銀行が見ているのは経営者の誠実さです。
・できないことをできると言わない
・悪い数字も隠さず説明する
・困ったときほど早めに相談する
この3つを徹底するだけで、銀行の対応はまったく違ってきます。
信頼は一瞬では生まれません。
面談を重ねるたびに少しずつ積み上がり、やがて「この会社は安心して貸せる」と評価されていくのです。
⑤ まとめ
融資面談とは、単なる審査の場ではなく、信頼を育てるコミュニケーションの場です。
準備・説明・姿勢――この3つが整っていれば、銀行との関係は確実に強固になります。
当社では、銀行との面談準備やプレゼン資料の作成支援、さらには融資交渉の同席・代行サポートまで行っています。
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