資金繰りが厳しくなったとき、多くの中小企業が取る選択肢の一つが「リスケジュール(返済条件の変更)」です。かつては比較的柔軟に対応してくれた銀行も、最近ではスタンスが大きく変わりつつあります。
本記事では、最新の銀行の考え方とともに、経営者がリスケジュールを申し込む際に押さえるべきポイントを、実務視点で詳しく解説します。

1. リスケジュールへの銀行対応はどう変わってきたのか?
金融緩和終了と金融庁の方針転換が背景に
これまで、金融機関は中小企業支援の名のもと、比較的柔軟にリスケを認める傾向にありました。しかし、近年のゼロ金利政策の解除や金融行政の方針転換により、返済猶予への対応は厳格化しています。
単なる返済猶予では認められない
「売上が落ちたので返済を待ってほしい」──このような漠然とした理由では、もはやリスケは通りません。 銀行は、返済条件の変更を認める代わりに、明確な事業改善計画の提出を必須条件としています。
2. 銀行が求める「事業改善計画書」とは?
リスケジュールを申し込む際、銀行が必ず求めてくるのが「事業改善計画書」の提出です。
計画書に盛り込むべきポイント
- 資金繰り悪化の原因分析:なぜこうなったのか、根本原因を明確に
- 具体的な改善策:売上向上、コスト削減、人員配置見直しなどを定量的に提示
- キャッシュフロー計画:何ヶ月後に返済を再開できるのか、資金繰り表で示す
- 黒字化までのスケジュール:改善にかかる期間とその過程を段階的に記載
口頭での説明では通用しません。書面に落とし込み、数値で語ることが求められます。
3. 銀行がリスケを認めやすくするための具体策
リスケ交渉の成否は、銀行との“信頼関係”と“準備の質”で決まります。
1)銀行との日常的な信頼関係の構築
- 毎月の試算表・資金繰り表を提出
- 小さな変化でもこまめに共有し、情報の非対称性を減らす
- リスケ相談は“早めに”。ギリギリになっての相談は印象が悪い
2)実現可能性の高い計画書を作る
- “根拠のない希望的観測”はNG。業界動向や過去実績を元に計画を作る
- コスト削減や値上げの影響を具体的に試算し、PL改善の裏付けを用意
- 返済再開までのシミュレーション(複数パターン)を提示
4. リスケ後に気をつけるべき“次の一手”
リスケジュールはあくまで「時間を稼ぐ手段」であり、本質的な経営改善が伴わなければ再リスケや金融支援の打ち切りにもつながりかねません。
リスケ後にやるべきこと:
- 毎月の実績と計画との差異を分析し、銀行にも報告
- 改善策の実行状況を可視化し、効果が見えてきた段階で追加支援を要請
- 新規取引先の開拓や収益性の高い事業への転換も検討
「改善の兆し」をいかに示せるかが、次のステップに進む鍵になります。
5. まとめ|リスケ交渉の成功は“準備”と“信頼”がすべて
最近の金融機関は、単なる“待ってくれ”には応じません。むしろ、誠実に事業改善に向き合い、数字で将来像を描く企業には、再起のチャンスを与えてくれます。
リスケ成功のためのポイント
- 資金繰り悪化の兆候が見えたら早めに相談する
- 書面で事業改善計画を用意し、数値根拠を示す
- 日常的な情報開示と、銀行との良好な関係維持を怠らない
株式会社ライフクリエイトでは、リスケジュール交渉のサポートや、金融機関提出用の事業改善計画書の作成支援を多数行っています。
「返済が厳しくなってきた」 「今のうちに手を打ちたい」
そんなときは、どうぞお早めにご相談ください。再生の道を、一緒に描いていきましょう。
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