なぜ設備資金は借りやすい?銀行が重視する「見えるお金」とは
「同じ金額なのに、設備資金の方が簡単に借りられるって本当ですか?」
銀行融資の現場では、そうした疑問がよく寄せられます。
実は、資金の使途が明確な“設備資金”は、審査が通りやすい傾向にあります。
その理由の一つが、今回のテーマである「資金トレースの明確さ」。
資金調達の成功率を高めるために、まずは“資金トレースとは何か”をしっかり理解しておきましょう。
■ 運転資金と設備資金の違いとは
• 運転資金の借入限度額目安:売上の2〜3ヶ月分
• 設備資金:設備導入後のPL(損益)計画次第で、それ以上の調達も可能
■ 銀行が設備資金を評価しやすい理由
• 資金使途が明確である
• 融資実行後の資金がどこに行くかが分かりやすい(=見積書・請求書・振込明細などで証明可)
• 銀行としてリスクを抑えやすい融資と認識される
一方、運転資金は「給与」「仕入」など支払先が分散し、資金の流れが不透明になりやすいため、銀行としては慎重になりがちです。
設備資金が通りやすい理由まとめ
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- 資金使途が明確(見積書・請求書・振込先がはっきりしている)
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- 資金の流れがトレースできる=銀行側が安心できる
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- 設備の将来的な収益に結びつきやすいため、リスク評価がしやすい
よくあるNGパターン
【よくあるNGパターン:先払いで詰む】
自己資金で先に設備代金を支払い、その後に融資で補填しようとする
→ 銀行はこれを「支払済み=資金使途が不明」と判断し、設備資金として認められないことがある
→ 結果、運転資金扱いになり、融資枠が足りなくなる
【それがなぜ問題か?“運転資金”の限界】
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- 運転資金の融資は、平均月商の2〜3ヶ月分が上限の目安
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- それを超える額を希望しても、「そんなに使途見えないでしょ」と判断される
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- 加えて、設備資金のような長期返済が組めなくなり、短期で返済=キャッシュ負担が激重
【正しい流れ:トレースありきで設計する】
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- 設備導入の前に、見積書や請求書を取得し、事前に銀行相談
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- 融資実行後に、その資金で直接支払う。(※後払いが鉄則)
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- 請求書・振込明細・納品書などを保存=資金使途の“証拠”を整備
→ これだけで銀行は安心して「設備資金ですね」と認定しやすくなる。
設備資金の審査では、「いくら必要か」より「どう使うか」が問われます。
資金の流れに曖昧さがあると、想定よりも少ない融資しか通らなかったり、
返済条件が不利になるケースも少なくありません。
特に数百万円~数千万円単位の設備投資を控えている企業は、資金トレースの設計が命。
必要なのはお金じゃなくて、“使い方のシナリオ”なのです。
絶対NG!“かさ増し融資”がバレたときに起きること
「設備投資で融資通したいんですけど、ちょっと“調整”ってできないですかね?」
融資相談の現場で、時折こんな“裏技”を持ちかけられることがあります。
もちろん、表では語られないグレーな手口。
でもその裏技、実は“自分の信用を自分で壊す行為”かもしれません。
今回は、実際にあった「資金トレースの反則技」と、
それが銀行にバレたときに何が起こるのか?という、リアルなリスクについてお話しします。
■ 実際にあった“反則技”の例
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- 設備費用の見積書・請求書を意図的にかさ増し
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- 実際にはもっと安く仕入れて、差額を通帳に残す or キャッシュバック受ける
→ 一見バレなさそうでも、数字と現実のズレはどこかで露呈する
【それ、なぜマズい?:超リアルなリスク】
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- 銀行に提出した書類と実態が異なる=虚偽報告扱い
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- 決算時に台帳と帳簿が合わず、不自然な数字が残る
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- 金融機関に発覚すれば
→ 「その融資、完済まで新規貸付ストップ」
→ 信頼崩壊。金融機関リストに“✕マーク”が残る可能性あり
→ “ウチ、裏で変なことしてる会社”というレッテルは、回復に年単位。
【誠実な交渉こそ、最速の近道】
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- 必要な金額・目的を、正直に、事前に相談すること
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- 銀行は「交渉上手」より「準備上手」を好む
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- 見積・支払・納品・資金使途までトレース可能な流れをつくること
→ 長期的に「貸したくなる会社」になる
資金調達には近道はありません。
融資は「貸す側との信頼を積み上げるプロセス」であり、
一度失った信頼は、そう簡単には戻ってきません。
銀行と正面から向き合い、誠実な準備と実態に即した計画を提示することが、
“継続的に資金が引ける企業”になるための最短ルートです。
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資金の流れに不安がある方は、今のうちにご相談ください。
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