―「儲かる話」に飛びつく前に、まず財務の足元を見直すことから―
「この話、絶対に儲かるから」…その前に確認すべきこと
中小企業の経営者とお話していると、設備投資の場面でよく聞くのがこのフレーズです。
「このビジネスは絶対に儲かるから、今がチャンスなんだ」
「あとは資金だけなんだけど、なんとかなると思っている」
確かに、経営はタイミングが命。新規出店や設備導入、新規事業への参入など、「いまだ!」という直感は時に重要な判断材料になります。
しかし、勢いだけで投資を進めてしまうと、資金繰りの悪化や融資余力の枯渇といった深刻な事態に発展する可能性があることも忘れてはいけません。
本コラムでは、企業が投資判断を行う際に見落としがちな「財務の足元」や「調達余力」の考え方を、現場目線でお伝えします。

投資の前に考えるべき3つの視点
企業にとって設備投資は成長戦略の一部であり、挑戦しなければ事業の発展は見込めません。とはいえ、その意思決定には冷静な財務的視点が不可欠です。
1. 現預金残高とキャッシュフローの現状
まず前提として、設備投資資金を「今あるお金」でまかなえるのかを冷静に確認しましょう。投資後も数ヶ月にわたって人件費や既存事業の仕入・販管費は継続して発生します。現預金が減少する=経営の余力が削がれるということ。目の前の利益に惑わされず、今あるキャッシュがどのくらいの期間、会社を支えられるのかを可視化することが必要です。
2. 借入の余力(調達の“次の一手”)
「自己資金が足りないから、銀行に借りればいい」という判断も要注意です。金融機関から見て、既存借入が多い、あるいは今回の投資が「投機的」に見える場合、思うような資金調達ができないこともあります。
いざという時に借りられる余力を残しておくこと=企業の体力です。投資を行う際には、今の借入状況、調達枠、保証協会の利用可能性などを事前に精査し、「今回は借りずに、次の一手に備える」という判断も視野に入れておきましょう。
3. “下振れシナリオ”を想定しているか?
「思ったより集客が伸びなかった」
「建築費が予定より膨らんだ」
「採用が間に合わずオープンが遅れた」
こうした“予定外”は事業投資の現場では珍しくありません。
問題は、それでも事業を維持できる設計になっているかどうかです。
売上が見込みより20%下振れしたら?
金融機関の融資実行が遅れたら?
リース契約や補助金採択が取れなかったら?
このように、「もしもの時」の財務安全圏を確保した上で進める投資でなければ、経営リスクは一気に跳ね上がります。
投資の成否を決めるのは、タイミングと財務体制
私たちがこれまで支援してきた中でも、成長を続ける企業ほど“投資の判断プロセス”が非常に丁寧です。
- 数字で判断できるキャッシュフローの見通し
- 売上の裏付けとなるマーケティング調査
- 銀行との事前協議
- 社内の経費体制の見直しと事前調整
- 投資後のPL/BSへの影響予測
これらをすべて経営者が一人で行うのは難しいものです。だからこそ、「数字と向き合う外部パートナー」として、私たちのような外部CFOや財務コンサルの存在価値があると考えています。
財務を整えれば、次のチャンスに“動ける”会社になる
企業が本当に強くなるのは、儲かる話に乗れることではなく、「いつでも動ける財務状態にあること」です。
- 銀行に顔が利く
- 試算表が毎月正しく出る
- キャッシュフローに余力がある
- 財務に強いブレーンがいる
こうした状態を整えることが、企業の持続的な成長を支える「土台」になります。
おわりに:投資を「ギャンブル」にしないために
投資には当然リスクが伴います。ですが、そのリスクを最小限に抑える方法が、現状の財務分析と調達戦略の見直しです。
私たちライフクリエイトでは、創業支援から投資判断の伴走、金融機関との調整、予実管理まで、企業の“財務に強い右腕”として継続支援を行っています。
「この投資、実行しても大丈夫?」
「今のキャッシュでどこまでいける?」
「銀行交渉まで相談したい」
そんな悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
コメント