「社長が現場に出るべきか?それとも経営に集中すべきか?」社長が抱える“選択の重み”

クライアント先での月次ミーティングで時々社長業とは何か?という議題になることがあります。
例えば、自社と同業種の規模が大きな会社を想像してみてください。スタッフが不足している状況で、社長であるあなた自身が現場に出ているケースはありませんか?

「現場に出れば、すぐ利益になる」は本当か?

掃除スタッフが足りずに、「自分が現場に入って一件1万の案件をこなせばいい」「社長である自分が現場に入れば原価ゼロ」と考えるかもしれません。しかし、その“社長自らの1万円”は、会社にとって果たして最善の選択なのでしょうか。

例えば同時に、「ロケーションの獲得」「マーケティング戦略」「業務フローの改善」など、社長だからこそ取り組める“1時間あたり10万円以上の案件”に着手できる可能性があるとしたら――。社長としての時間を、どこに使うべきかが問われる瞬間です。

もし1件5万円の大口案件が舞い込んできたら?

社長の時間単価とは、「社長が1時間働いたときに生む付加価値」のことです。1万円の掃除業務ではなく、5万円単位の案件を獲得・実行できれば、社長としての存在価値は桁違いです。

スタッフが足りないときの「今すぐ現場に出る」判断は、一見有効に思えますが、長期視点では成果の最大化にはつながりません。社長が掃除に出ること自体が、経営のビジョンや成長戦略から目を逸らす行為になるケースは多々あるのです。

なぜ中堅企業の社長は“地味な仕事”に追われてしまうのか?

例えば、ハウスクリーニングの会社の場合で、住宅清掃で1軒5万円・法人ビル清掃で1現場20万円――。これに比べて、定期清掃やチラシ配り、ちょっとした追加清掃などが1万円だとしたら、社長がそこで時間を使う意味はどこにあるでしょうか?

大手清掃会社の社長がわざわざ簡易清掃スタッフとして現場に出るでしょうか?おそらくほとんどありません。清掃の背景には、現場の流れ、人材の教育、品質の担保、クレーム対応など、社長しかできないマネジメント課題が必ず存在しているからです。

社長の本来の仕事は、未来の“大きな利益の種”を育てること

社長であるあなたの役割は以下のようなものです:

  • 質・収益の高い案件開拓(商談・交渉、提案力の発揮)
  • チーム育成と仕組み構築(スタッフ採用・研修・配車管理)
  • ブランドと信頼構築(クライアントとの関係性向上、定期契約の実現)
  • 数値を使った経営判断(原価管理、労務管理、財務管理)

これらはいずれも現場に出るだけでは達成できません。確かにすぐ利益には結びつかないかもしれませんが、長期にわたって収益軸を強くする“高付加価値業務”なのです。

「現場に出る社長」の落とし穴

  • 顧客獲得の機会を逃す:営業や提案の時間が取れず、新規案件のチャンスを逃します。
  • スタッフマネジメントが疎かになる:現場に集中すると、休みや教育、評価などを後回しにしがちです。
  • 業務改善が滞る:清掃効率や運営の仕組みを整える時間が奪われ、同じことの繰り返しになります。
  • 成長サイクルが遅くなる:資金計画や教育制度、他社との差別化戦略などには手が回らなくなります。

結果として、どれだけ忙しくても「今月の売上」「来月の契約」が延々と続くだけで、会社としての未来が見えてこない状況に陥りやすいのです。

では、社長は“現場以外”に何をするべきか?

  1. 営業・案件獲得に専念する
    新しいお客様とのヒアリング、提案、契約までを優先し、売上の伸びしろを積極的につくる。
  2. スタッフ教育と仕組み構築に集中する
    マニュアル作成・評価制度導入・定期ミーティング—など、組織づくりに時間を使う。
  3. 業務の効率化を推進する
    アプリやクラウド、SaaSツールを導入し、配車・在庫・請求の仕組みを整える。
  4. 財務・原価を数値化して管理する
    採用コストや清掃単価、原価率などを把握し、改善策を打つ。

これらを行うことで、社長の1時間の価値が格段に上がり、会社全体の利益や将来性も飛躍的に改善します。

社長としての意思決定、あなたはどちらを選ぶか?

  • 人件費を節約するために社長が現場に出て汗をかくのか
  • 社員が働きやすい環境をつくり、社長は組織を動かす仕事に専念するのか

この選択を“自信を持って”できる経営者は少ないかもしれません。でも、経営において「社長自身の時間単価と価値を理解すること」は最も重要なステップです。


まとめ|社長の仕事は“未来を創ること”

“現場に自らが立つ”判断は短期的には利益に見えるかもしれません。しかしその時間を、未来につながる経営判断、人材育成、仕組み構築、営業に使うことで、会社は次の成長フェーズへと進んでいけます。

あなたは今、自分の時間と会社の未来、どちらに投資しているでしょうか?
社長自身が「自分だからこそできること」に集中できるよう、当社では経営者向けの経営伴走(CFO/外部CFO支援)を提供しています。一緒に「未来を創る仕事」に集中しませんか?

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