経営者なら一度は考えるはずです。「銀行からの融資、少しでも通りやすくする方法はないか?」と。
もちろん、事業の実態や決算内容が大事なのは間違いありません。でも、“いつ”相談するかというタイミングにも、実はちょっとした“裏事情”が存在します。
そのヒントは、銀行の「決算月」にあります。
今回は、あまり語られない“銀行の本音”を交えながら、融資が通りやすくなる時期とその理由について、解説していきます。

銀行の“商品”はなにか?主力はやっぱり「融資」
そもそも銀行は何を売っている会社なのか?
ざっくり言えば、お金を貸して、その利息で利益を上げるのが主なビジネスモデルです。
最近は、保険・投資信託・NISA・相続関連・M&Aなど、いろんな商品を扱うようになっていますが、やはり今も昔も「融資」は銀行の“王道商品”。
ただし、長引く低金利で「貸しても儲からない」状況が続いています。その結果、銀行員たちは毎月、様々な商品の“ノルマ”を課せられているわけです。
- 投信○〇万円
- 融資新規○件〇〇万円
- 法人口座開設○件
- クレジットカード○枚
これ、冗談じゃなく毎月です。勤務している限り永遠にこのプレッシャーと戦うのです。
つまり、銀行の担当者には“売らなきゃいけない月”と“より売らなきゃ怒られる月”があるということです。
銀行にとって“勝負月”は3月と9月
銀行の決算月といえば、3月。これは上場企業と同じで、年度の最終月です。
そして、9月は「中間決算」の月、つまり仮決算。ここで数字が悪いと、本部からの締め付けが厳しくなるのはどこの銀行も同じ。
この2つの月は、銀行員にとっては「何が何でも数字を作らなければいけない月」なのです。
当然、融資目標も他の月よりも高くなります。
この時期になると、普段は少し慎重な銀行も、“背中を押される心理”が働きます。
- 普段はギリギリ通らない案件でも「今月なら…」と前向きに検討される
- 「支店長決裁」でOKが出やすくなる
- スピード感も早くなる(数字を作りたいから)
つまり、銀行も“数字が欲しいとき”には多少無理をしてでも実行させようと動くのです。
実行は3月・9月を狙う。じゃあ、相談はいつ?
銀行の融資審査期間は、規模にもよりますが、だいたい1ヶ月前後が目安です。
書類提出、ヒアリング、稟議、保証協会付きなら保証協会の審査、本部承認…と段階が多いため、短くても2週間、長いと1ヶ月以上かかるケースもあります。
ということは、「3月に融資実行してほしいなら、2月上旬には動き出す」というのが戦略としてベストです。
同様に、9月実行なら8月中に相談開始がベター。
この“逆算思考”で動くだけで、他の時期よりも融資がスムーズに進む可能性がグッと上がります。
銀行員の“心の声”:「今月は数字を作りたい!」
「この案件、ちょっとリスクあるなぁ…」
「普段なら見送るけど…今月、あと1件融資通せば達成なんだよなぁ」
「支店長、これお願いできませんか?」
――これは実際の現場で、日々繰り広げられているリアルなやりとりです。
融資担当者も、数字に追われるプレイヤーであることに変わりありません。
だからこそ、相手の状況(=銀行のカレンダー)に合わせて動くことで、“気持ちよく動いてもらえる”余地が生まれるのです。
注意点:だからといって無理な借入はNG
とはいえ、「3月・9月に通りやすいから借りとけ!」という話ではありません。
- ちゃんと返せる金額か?
- 資金使途は明確か?
- 事業計画と資金繰りに整合性はあるか?
このあたりが曖昧なまま“通りやすい時期にねじ込む”のは、後々自分の首を絞めるだけです。
また、銀行側の都合に合わせて無理に急ぐことで、資料の精度が落ちたり、説明が雑になってしまうと、逆効果になることも。
だからこそ、準備は早めに。戦略的に相談のタイミングを決めるのが重要です。
まとめ|銀行の都合を“味方”につけるのも経営戦略
銀行融資は、決して運任せでも、お願いベースでもありません。
必要なのは、情報、戦略、そしてタイミング。
今回紹介した「3月・9月は通りやすくなる」というのは、あくまで銀行の裏事情の一端です。
でも、その裏事情を知っておくだけで、相談のタイミングや資料の提出スケジュールを工夫することができる。
そして結果的に、「通りやすくなる」「条件が良くなる」のであれば、それは立派な戦略です。
銀行と対等に付き合っていくには、銀行の論理とスケジュール感を理解しておくことが大切。
- 3月と9月は銀行の数字づくりの“勝負月”
- 審査期間を逆算して、2月・8月に相談スタート
- 通りやすくなるだけでなく、対応も前向きになりやすい
- ただし、内容次第なので、準備は怠らないこと
資金調達を“お願い”ではなく、“交渉”として進めるために。
ぜひ、次の融資相談では「タイミング」も意識してみてください。
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