経営が苦しくなってきた……
そう感じたとき、経営者がまず考えるべきことは「どこから手をつけるか?」です。
売上が減ったから融資を申し込もう。
赤字だからとにかくコストカットしよう。
そうした単発の対処では、根本的な改善にはつながらず、むしろ再生のチャンスを逃してしまうことも。
本記事では、数多くの企業再建を支援してきた実務経験から、事業再生の最初に取り組むべき「5つのステップ」を具体的に解説します

まずは現状分析!「何が問題か」を数字で把握する
事業が傾きかけているとき、真っ先にすべきは現状の棚卸しです。
感覚や気合いで立て直そうとしても、経営は数字で動いています。冷静に分析しましょう。
(1) 財務状況を把握する
- 手元資金はあとどれだけ持つのか?
- キャッシュフローは黒字か赤字か?
- 借入金の返済負担が資金繰りを圧迫していないか?
返済が厳しい場合、リスケジュール(返済条件の見直し)も含めて早期に手を打つべきです。
(2) 損益構造を見直す
- 売上減だけでなく、粗利益率や固定費もチェック
- 人件費や家賃、広告費などのコスト構造に無駄がないか
- 利益が出ない商品やサービスに依存していないか
「何が重荷で、何が利益を生んでいるか」を定量的に可視化することが、再生の第一歩です。
キャッシュフローの改善!「今すぐできること」から着手
資金繰りに余裕がなければ、冷静な判断も戦略的な実行もできません。
だからこそ、最優先すべきは“キャッシュを生み出す”ことです。
(1) 売掛金の早期回収
- 長期滞留債権は即チェックし、回収交渉を実施
- 支払いサイトが長すぎる場合は、交渉で短縮を図る
(2) 固定費の見直し
- 無駄な支出(サブスク、使っていないリースなど)を精査
- 賃貸・リース契約や委託業務の見直しを検討
(3) 借入金のリスケ交渉
- 金融機関との信頼関係があれば、返済期間の延長や元金据え置きも可能
- リスケは早い段階で動いた方が、選択肢も広がります
短期的なキャッシュを確保することは、再生の“時間”を買うことでもあります。
事業の選択と集中!「利益を生むコア」に絞る
全てを守ろうとすると、結果的に何も守れなくなることも。
事業再生では、「何を残すか」より「何をやめるか」の決断が必要です。
(1) 赤字部門・採算割れ商品を切る
- 売上があっても赤字なら意味がありません
- 感情ではなく数字で判断を
(2) 利益率の高い商品・顧客に集中
- 少ない売上でも高粗利な商品が利益を支えているケースは多いです
- 値引き販売に頼るのではなく、価値のある商品の訴求を
撤退は失敗ではありません。撤退からの気づきや学びの方が多くあります。
本当に戦える領域に絞ることで、経営は一気に軽くなります。
銀行との関係を見直す!「使える制度」を知る
資金繰りを改善し、事業を再編しても、それだけで資金が回るとは限りません。
「必要な資金を、必要な形で調達する」ことも、事業再生のカギです。
(1) 既存借入の再構築
- 毎月の元金返済が重い場合、返済期間の延長・一部据え置きなどを金融機関と相談
- 長期借入を短期に組み替えられていないか? 金利だけでなく返済条件の最適化が必要です
(2) 補助金やノンバンクの活用
- 事業再構築補助金や小規模持続化補助金などを活用して資金負担を軽減
- 一時的にはファクタリングやABL(動産・債権担保融資)も検討
重要なのは、「銀行の都合」ではなく「自社の戦略」に沿った借入を選ぶことです。
まとめ|再生の成功は「早めの対応」と「冷静な分析」から
事業再生の成功確率を上げるためには、次の4つのステップを順に、かつスピーディーに進めることが大切です。
- 現状の数字から“本当の課題”を洗い出す
- キャッシュを確保し、経営に余裕を取り戻す
- 利益を生む事業にリソースを集中させる
- 金融機関との適切な関係を再構築する
そして何よりも、「まだ大丈夫」と思っているうちに動き出すことが、再生の成否を分けます。
私たち株式会社ライフクリエイトでは、
中小企業の経営者の右腕として、事業再生・資金繰り改善・金融機関対応を一気通貫で支援しています。
税理士さんだけでは対応しきれない「数字の奥にある経営課題」に向き合い、現場にも入りながら具体的な改善施策を実行していきます。
「経営が厳しいかも…」と少しでも感じている方は、どうかお早めにご相談ください。
私たちが伴走しながら、再生への道筋を一緒に描いていきます。
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